一般の方が腸腰筋と聞いても、全く想像がつかないと思います。しかし、専門家であれば腸腰筋と聞けば大事な筋肉であることは周知の事柄です。
それを今回、腸腰筋がいかに大事なのかを、素人さんでもわかるように解説していき、どのようにトレーニングすべきなのかもお伝えします。
この記事を読めば、女性であれば美しい姿勢を、高齢者の方であれば転ばない体つくりを、セラピストであれば明日から使える指導方法を得ることができるでしょう。

運動器認定理学療法士である臨床経験15年からの提案です!
最後までご精読よろしくお願いします。
解剖学
腸腰筋は3つの筋をまとめて言います。
①大腰筋 ②小腰筋 ③腸骨筋
これらをまとめて腸腰筋と言います。大腰筋と小腰筋はほぼ同じ部位に位置しています。 じゃどこにあるかというと、名前に「腰」という字が入っており、その通り腰周囲にあります。
起始:大腰筋と小腰筋は腰椎の椎体・横突起 腸骨筋は腸骨内側
停止:大腰筋・小腰筋・腸骨筋すべて大腿骨の小転子
機能:股関節屈曲・軽度外旋 腰椎前湾(大腰筋・小腰筋) 骨盤前傾(腸骨筋)
支配神経:腰神経叢
ざっくりいうと、腿(もも)を上に持ち上がる筋肉!そして、腰を反らす作用のある筋肉です。

筋の特性
しかし、この筋肉がどうして大切かというと、 腿を上げる筋肉は他にも、大腿四頭筋、縫工筋などもありますが、腸腰筋は一味違います。
ポイントは体の深部にある筋ということです! 筋肉の大きさ出て言えば、圧倒的に大腿四頭筋の方が大きく、もちろん出力も大きくなります。ただ、深部にあるという事は、股関節屈曲のインナーマッスルになるのです。※インナーマッスルとは、体の中心にある筋肉の事を指し、軸を作る筋として考えられています。
すなわち、、、 腸腰筋は、股関節の軸を作り、安定させてくれる筋肉なんです。 また、腿を上げる初期に働き、股関節を効率的に屈曲させる作用があると考えられています。
この筋肉を鍛える事で、転倒予防、走行の安定、姿勢改善に繋がって行きます。高齢者の方であれば、つまづかない足を、アスリートであれば早く、安定した走りを、女性であれば、スタイルのいい姿勢を 得ることが出来るのです!
腸腰筋については、こんなデータもあります。 心疾患患者と健常な人の腸腰筋の筋厚を比べると、心疾患患者の筋厚が優位に少ないというデータもあります。 また、大腿骨頸部骨折患者と健常な人を比べた研究でも、同様の結果が得られています。(筋厚はCTにて測定しています) 別の研究では、黒人は欧米人と比較して腸腰筋の筋厚が大きいことも言われており、遺伝的な要素もあるようです。 世界最速のウサインボルト選手の腸腰筋は日本人の数倍あるそうです。
スタイルに関しては、腰周りのラインが綺麗になり、また、体の深部の筋肉なので、表面に出でくる筋肉ではないので、鍛えすぎても、ウエストが太くなる事はほぼありません。
骨盤が前傾し、腰椎が真っ直ぐになり、猫背の人や、座る姿勢が悪い人は鍛えないといけない筋肉です。
逆に、腸腰筋が弱くなると、どうなるのか、それは、、、
①転倒リスクの増大:疾病率増加先ほど述べたように、心疾患や骨折のリスクが上がる他、生活習慣病とも関連があるようです。
②姿勢不良:姿勢不良は見た目を悪くするだけではなく、様々な関節にストレスがかかります。主にストレスを受けるのは、やはり腰です。筋肉自体が腰椎に着いているため、ストレスを多く受けます。また、股関節の安定と動かす筋肉であることからも、股関節もストレスが多くかかります。股関節が不安定になることによる、変形性股関節症、関節唇損傷、FAIなどのリスクが高くなると考えられます。
トレーニング方法
じゃ、どうやって鍛えるの? これはいたって至ってシンプルです。
まず、姿勢良く椅子に座ります。 ポイントは姿勢良く座る事と、背もたれにもたれない事。 そして、お腹に手を当てて、腹圧を高めます。 そこから、腿を上に持ち上げます。

余裕があれば、両足を、無ければ片脚づつでも。それでも不安定なら、手で椅子を持って体を支えましょう。 シンプルですが、これが一番効率的で理にかなった動かし方なのです。 ポイントは姿勢です。
また、筋肉自体は大きい筋肉ではなく、インナーマッスルなため、足に重りなどは着けずにやりましょう
重りをつけると、アウターマッスルが働いてしまうので。
最後に
腸腰筋を鍛えれば、体の要となる腰回りの姿勢が整い、姿勢が綺麗になり、転倒しにくい脚力を得ることができることが分かりました。
もし、周りに姿勢や、躓きやすさで悩まれている方がいらっしゃるのであれば、今回の記事での内容を試してみてください。きっと役に立つでしょう。
また臨床のセラピストでれば、自宅での簡単なホームエクササイズにもなるため活用してみてください。
ご精読ありがとうございました。
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